蔡英文総統が2日、台湾北部・桃園市の鄭文燦市長らと共に同市平鎮区の「1895乙未保台紀念公園」で行われた「乙未保台戦役127周年紀念儀式」(乙未台湾防衛戦争127周年記念式典)に出席した。「乙未戦争」は「馬関条約」(日本では「下関条約」)によって清から日本に台湾が割譲された後、台湾の人々が日本の接収に抵抗して戦った戦争を指す。
蔡総統は、「乙未保台戦役」は台湾を守るために台湾で起きた最大規模の戦争であり、義勇軍が前線で戦ったほか、住民たちも食糧面での協力や後方での支援を行ったと説明。その上で、当時エスニックグループの違いを越えて団結した目的はただ一つ、自分たちの愛する土地を守ることだったと述べた。
「乙未戦争」では桃園市などで、台湾で二番目に大きいエスニックグループである客家(ハッカ)の人々が日本軍に激しく抵抗した。蔡総統は、「乙未戦争」の精神は客家人が自分たちの国を守るため勇敢に抵抗した精神を象徴しており、「乙未保台紀念公園」は客家人の歴史と文化を今に伝え、我々に団結することの重要性を教えてくれると語った。
桃園市の鄭文燦市長は、1895年にエスニックグループを問わず台湾を守った「乙未戦争」では客家の人々によって組織された義勇軍が非常にシンプルな武器で日本軍に対抗し、その戦争遺跡は今も残っていると説明。また、1895年以降、「台湾人」の概念が徐々に形成され、日本統治時代から戦後、そして民主化へと変化していく歴史が生まれたとして、客家人と台湾の精神がこれからも代々受け継がれていくことを願った。
義勇軍の遺族代表は、客家人は「義民精神」を尊びエスニックグループの力を結集すると指摘、外来政権による侵略を受ければ劣勢だろうが自分たちの土地を守るため勇敢に身を投じ、後には引かないと説明した。そしてこの日の式典は政府がこの歴史を重視していることの表れだと評価、勇敢な「義民」たちの歴史を永遠に伝えてほしいと訴えた。「義民」とはかつて台湾で自らの土地を守るため戦い、犠牲となった民間人のことを指す。
式典の会場には「乙未戦争」で犠牲となった英霊を象徴して1万4,000本の赤いバラの花が用意され、参列者や遺族たちが花を池に投げ入れて犠牲者を追悼した。蔡総統は「藍地黄虎旗」を贈り、「乙未戦争」における「安平鎮の役」で後方支援を行ったとされる湯氏の子孫、池俊鑑さんが遺族を代表して受け取った。「藍地黄虎旗」は当時、日本による接収を拒否する人々によって建国が宣言された「台湾民主国」の国旗のこと。